2024年詩作
2024 正月
コロナがおわった大みそかの夜
テレビは派手で騒々しかった
巷には物価高に苦しむ人々がいて
戦火を逃れて寝る所もない避難民がいる
そんな世の中で
画面は絢爛豪華なセットで
芸人たちがはしゃいでいる
こんなに浮かれて良いのか不安がよぎった
除夜の鐘をきいて寝た
遅い元旦の起床
テレビは正月ムードを盛り上げて
面白くもないギャグで大笑いしている
そして16時10分
緊急地震警報のチャイムがなった
津波がくると叫んでいる
正月ムードから災害モードに一変
夜も地震警報はつづき
現地の暗い映像が流れている
軽薄な正月特番は消えた
そして次の日17時47分
旅客機が燃えて滑走路を走っていた
470億円のエアバスは瞬く間に灰燼と帰した
立て続けの天災と大きな事故で
浮かれた考えにピリオドを打てただろうか
(横浜詩人会
夏の日の詩とジャズ 2024で朗読)
寒い朝に
窓を開けると小鳥がくるよ
寒い朝にお腹をすかせた
小鳥がくるよ
メジロにはミカン
シジュウカラにはヒマワリ
スズメにはパンを
スズメは大家族
メジロはつがい
シジュウカラはつがい2組
しかし今朝メジロは一羽
どうしたのだろう 胸が痛くなった
ヒヨドリが来てメジロは逃げた
ヒヨドリはミカンが好きだ
僕が窓に行くと
ヒヨドリが逃げてメジロがきた
今度はつがいできたよ
人間も太古の昔は
森をさまよって食べ物をさがしていた
先人の知恵により今は暖かいへやで
おいしいものをたべられる
自分も何か良いことを残したいものだ
人生
ダダダ ダーン ダダダ ダーン
運命の弦がひびく
人が生まれ死ぬまでを人生という
人生は運命の糸であやつられる
運命は生まれた場所できまることもある
戦乱の地に生まれた人
災害の地で生まれた人
都会のくらやみで生まれた人
短い人生 長い人生
楽しい人生 苦しい人生
意にそぐわい人生なら
乗り換える決断をしよう
コツコツ働いた人も
遊んですごした人も
60すぎると第2の人生になる
アリのように働いて蓄えた人は
第2の青春を味わうがよい
キリギリスのように蓄えなかった人は
つらい老後になるかもしれない
欲張らず威張らず勉学に励めば
奥行きの深い世界がひらけるだろう
万人感謝をこめ
ゆったりと時間をすごし
太陽が沈むように
きれいな光につつまれて
交響曲新世界がひびく大空に消えていこう
ウグイス
森の小径を進んでいくと
新緑の木々がひろがり
葦の茎がグングンのびている
竹藪の陰からウグイスがホーホケキョ
私は口笛でホーホケキョとこたえる
ウグイスは縄張りに誰か入ってきたかと
枝の陰からホーホケキョと
様子をうかがっている
ある日葦の茂る湿地でケ ケケケケケエ
ケ ケケケケケエけたたましい鳥の鳴き声
どうしたのかと藪をうかがうと
小川で黄色いくちばしのウグイスが
バシャバシャバシャと水浴びをしている
近づいても逃げない
親鳥は必死にギャアギャア騒いでいる
手の届く距離まで近づく
幼鳥はピョコンと僕をみている
パチツとスマホで可愛いウグイスが撮れた
ピーポー
早春のひるさがり
ベビーカーに孫を乗せて散歩にでた
あたたかい日射しのなか公園についた
子供達がジャングルジム
すべり台であそんでいる
孫は微熱で保育園をやすみ
今日はジイージイが面倒をみている
あ ピーポーだと
孫が私に言った
私はなんだろうと思った
数分したら赤色灯をつけた
救急車がピーポーピーポーと走ってきた
孫の新しい耳と80年つかった
ジイージイの耳では聞こえる時間がちがうんだ
(横浜詩人会 詩画展 2024 で発表)
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