水の旅
NORIAKI
森の小川をたどっていくと
枯れ葉 枯れ木がつまった湖面に
ミズスマシの家族が滑っていたよ
スーイ スーイ
森の小川をくだっていくと
石でせき止めたダムがあったよ
トマトが三つ うかんでいたよ
ポワーン ポワーン
水はやがて大きな川にながれ
海にそそぎ
太平洋をアメリカに向かってながれた
ボク達は蒸発して雲となり
知らない山にふって
また 小川をながれているよ
キラ キラキラ キラ
旅は果てしなくつづくよ
やがてウクライナにも行けるよ
ウクライナの人に飲んでもらうよ
不老長寿の薬
NORIAKI
神は生物を誕生させ
窮する者にも富める者にも権力を有する者にも
平等に死をあたえた
アメリカベンチャー起業の成功者は
莫大な利益を得たが
彼らは今や老境にある
余りある資金を
不老長寿薬の研究に出資している
紀元前 中国を統一した秦の始皇帝は
不老長寿薬を探す命令を下した
従者は世界に向かった
はるばる倭国にもきた
はたして金の力で
神の作った掟を破ることができるのだろうか
研究の進捗は極秘である
神の掟を破ろうとした始皇帝は
従者の持ち帰った薬を飲み
寿命を縮めたそうだ
夕焼けの浜辺
紅く染まった海岸線
夕日をシルエットに
君は水平線の彼方をみつめている
今朝スナイプで葉山を出航して
エボシ岩に行ったね
凪いだ時もあったがお昼にはついた
アンカーを降ろしてランチしたね
君のお手製のカツサンド
カモメがおこぼれをもらおうと
マストをかすめて旋回してた
帰航は君がラダーをにぎった
波しぶきが君の体に飛び散る
艇は大きな風を受け45度に傾き
快調に驀進して母港にもどった
明日からは又都会の喧騒の中だ
暮れなずむ空から
ドボルザークの新世界が
大空にひびいている
アルプス遠望
NORIAKI
白樺の道を車は進む
湖を左にみて
最後の坂道をのぼる
レンゲツツジの咲く高原についた
君と並んでリフトにのる
野鳥がさえずり
そよ風がふき
白い雲がながれる
岩だらけの登山道をのぼる
アルプスの山々が一望だ
青春時代に登った峰がかすんでみえる
今はもう登れない
あれから半世紀がすぎた
人生の線路は後戻りできない
その年々でやれることをやっておくことだ
ザ・パラダイス
ズスーン ズスーン あずさ1号は走る
甲斐駒 北岳が 車窓を流れる
ゴローンゴローン ロープウエイは
からまつ林を 抜ける
木漏れ日にとろけける 梢
そよ風にゆれる 木々
カッコウの響く白樺林
林を過ぎて湿原に着いた
地平線まで延びる 木道
萌黄色の森にレンゲツツジが咲く
ホーホケキョウ
ここは ウグイスの縄張り
湿原を過ぎるとなだらかな登り
スズランがいま盛りの群生
紺碧の空はどこまでも青い
ここは パラダイス
ミサイルも飛ばない
砲弾の音もしない
澄み切った空気が満杯だ
いつまでも続け平和な空